「三寒四温」

皆さんこんにちは(^-^)

春分の日が過ぎ、だいぶ温かくなってきた半面、朝と夕の気温差や、毎日の気温の変動に体がついていかず体調を崩す方もいらっしゃるのではないでしょうか?世間はまだまだインフルエンザの流行も終息しておりませんので、お気をつけ下さいね。

さて、最近職員さんと『毎日三寒四温で体がおかしくなっちゃうね。』とか、『今日は花冷えだね。』と会話を普通にしていますが、実は私、お恥ずかしい話ではありますがその言葉自体をなごみの郷に入社するまで知りませんでした。
教えて下さったのは初代施設長であり、看護師の大先輩でもある小林 カツヱさんでした。
カツヱさんは看護師の教科書にも載っていない事を時には優しく、時には厳しく私に沢山ご指導下さいました。
今思い返すとあの時の沢山のご指導のおかげで自身が少し成長出来たのだな・・・と感謝の気持ちでいっぱいです。

ご指導頂いた沢山の宝物は後輩たちに確実に伝え続けて行こう!とカツヱさんのお誕生日でもある3月のこの時期になるといつも思う中山でした。

3月になると必ず頭に浮かぶ和歌があります。
それと同時に思い描くのが梅の花です。

「東風(こち)吹かば匂(にほ)ひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春を忘るな」

訳:
春になって東風が吹いたなら、その風に託して配所の大宰府(だざいふ)へ香りを送ってくれ、梅の花よ。
主人のこの私がいないからといって、咲く春を忘れるな。 菅原道真

日一日と暖かくなり、梅の花一輪ごとのほころびに胸がはずむこの頃です。
木ですが春告草、風待草などとも呼ばれています。
桜にも桃にもない香りは、古くから日本の暮らしにいち早く春を告げてきました。
老木の先にのびた細枝を手折り、梅一花に春への希を託す。
この花ほど日本人の心、これほど日本の風土に根差した花は無いかも知れませんね。
なごみの入居者さんも梅の花を見に出かけています。
外での笑顔は、最高ですね!
いつまでも好きな季節を感じるために外出ができ続けられるよう足腰を鍛えましょう。

ところで、最近、わが施設に「リフト」が導入されました。
浴室リフトと居室で使うリフトです。
初めて、試してみましたが、セッティング方法が板につけば介護職にも利用者にも最高かもしれないと思いました。
実際に入居者さんに「怖い?」と聴いても「怖くない」と・・・
抱えられた人に優しく、介護労働負担軽減され、安全な移乗ができるならどんどん活用するべきなんだと思います。
ICTや介護ロボットの活用は、在宅でも普及されるでしょうね。

施設で出会ってから約5年10ヶ月間。
先月ある利用者が逝去されました。ご家族から本人が元気な頃に「田舎に行きたい」と言っていたのを聞いていて、入居した当時から「いつか本人を連れて行けたらいいな」と話をもらっていました。
入居してから年齢を重ね、少しずつ弱ってきた心身状態…。
一昨年初めに、ご家族へ「田舎に行くとしたら今年しかない気がする」と提案させて頂きました。
ご家族もとても考えられたかと思います。
数日後、ご家族の返答は「Yes」でした。

出発日に向けて、ご本人・ご家族に介護・看護師・管理栄養士が準備に準備を重ね、ついに出発日を迎えました。梅雨入り前のその日は晴天でしたね。
空港までのバス、飛行機へと搭乗、そして2泊3日の生まれ故郷へ…。

あの時は何回も電話してしまい、すみませんでした。

帰ってくる当日、坂本と待っている間に、ご本人に会える楽しみと同時に、ご本人の状態とご家族の疲労度が気になって仕方がありませんでした。
停留所から帰ってくるバスが見えて、バスの中から手を振るご家族を見てホッとしました。
バスから下りてきたご家族とご本人に、思わず抱き合って「お帰りなさい!!」と感涙してしまいました。

あの当時のご家族の決断には、頭が下がりました。
そして晴れやかな表情で帰ってきた日の笑顔に、ご家族のご本人を思う気持ちが表れていました。
逝去された今、一昨年に提案して良かったのかどうだったのか自問しています。
後悔が少ない方を選択して頂けたのかどうか、気になっている今日この頃です。
少しでも、この施設で良かったなと思って頂いていたら幸いです。

この場を借りて、ご冥福を祈り申しあげます。
そして私達に沢山の事を教えてくれたご本人・ご家族に感謝しております。
 
施設介護支援専門員 井上