「助けあい」

 介護現場では、まだまだ入居者の暮らしに手の行き届いてない点が沢山あることが現状としてあります、その中で入居者の移動道具としての車椅子の「汚れ」が目についた。

現場で掃除を行なうが、なかなか時間がかかり、また、掃除に時間もかけられない事もあり、全てを行なうのに相当期間を要する。しかしその間、入居者さんは不快な思いを強いられてしまう…

 そんな声に反応し、感染・衛生委員会を筆頭に車椅子清掃隊を結成!有志を募り7/25に第1回目の活動日を迎えました。

 この日の気温は35℃、皆汗だくになりながらも、隅々まで洗い1台1台きれいになっていく車椅子を眺め、改めてこんなに汚れがついていたのかとの驚きもあった。また、汚れた車椅子を利用させてしまっていた事を申し訳なく思います。

介護職に今回のような時間を要して清掃をお願いしようとは思いません。何故なら、その時間を高齢者と過ごす時間に使ってもらいたいと思うからです。ただ、1つ1つの汚れが積み重なる前に、その都度その汚れに気付いた対応が図れることは、暮らしを支える上では何より大切なことだと思います。

介護現場に任せきりにせず、とはいえ介護現場も周りに甘えるのではなく、入居者の豊かな暮らしに近づける為にどう「助け合う」かが大切であるのかと再認識しました。

 越谷なごみの郷には、職種に関係なく「助け合う」姿があり、施設全体で入居者の暮らしを支える風土をいつまでも大切に持ち続けていきます。

閏間 順哉

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「就職フェア」

 昨日、埼玉県社協が主催する就職フェアに参加してきました。

 日曜日の午後の部ということもあってか、さほど参加者が多いとは感じませんでしたが、僕達のブースには2hで4名の方が話を聴きに来て下さいました。

 4名の方々は、経験者、未経験者、無資格者などそれぞれでしたが、この業界で働く意思を強く持っていらっしゃいました。

 そんな就職フェアの面談の中で僕達から話す事は、業務内容や賃金形態も勿論ですが何よりも、施設が「目指している方向性について」を重点的に伝えさせて頂きました。

 僕達が毎日お風呂に入っている事を周りの方に伝えても、「凄いね」とは言われない。しかし、特別養護老人ホームに入所している高齢者が毎日お風呂に入れる。と知ると「凄いですね」と言われてしまう。

これが、現状の高齢者施設での暮らしと、僕達の暮らしの違いです。このような僕達からしてみたら「当たり前」と言われる暮らしに、如何にして高齢者の暮らしを近づけるか。

 しかし毎日お風呂に入れて、食べたい物を獲得し、好きな時間に起床し、就寝するような暮らしは、高齢者施設の中では非現実的とも思われがちです。

全ての入所高齢者へとなると、今の人員体制では難しくとも、1人だけなら叶えられるかも知れない。全ての方は難しくとも、オムツ内に排便があった方だけなら叶えられるかも知れない。全ての方には応じられなくとも○○○ならば・・・。

 僕達の目指すことは、極論からイメージを膨らませ、そこに向かって近づけられる事がないか?もっと出来る事がないか?他の方法がないか?を日々追求し実践から1つずつ近づけていくこと。

 そんな話をしていると、ついつい目指すべき「正論」ばかりが主張されてしまうのですが、何より大切な事は、それを実践していく仲間(チーム)をつくっていくか!

 就職フェアに参加された方々がどの位、こうした話しに共感をしてくれたかは解りませんが、適当に甘い言葉“だけ”を並べて、誘惑で入社を勧めるよりも、共に目指す「仲間(チーム)」一員として迎え入れていきたいからこそ、伝える責任をもって話しました。

4名中、2名の方が施設見学を希望して下さり、1名の方が面接を希望して下さいました。同じ想いを持てるか、持てないかではなく、施設の想いに耳を傾けてくれた4名の方にまず心より感謝したいと思います。見学・面接、お待ちしておりますね。

施設長 八幡 雅冬

「初めの一歩」

 先日、小4の娘が学校で高齢者擬似体験(うらしま太郎体験)をおこなってきました。

  目には白内障による色覚変化、ぼやけて見える状態や視野の狭さを再現するための特殊眼鏡をつけ、足や手首には関節が動きにくくなる状態を再現する重りをつけ、高い音が聞こえにくくなる耳栓をつけ、人差し指と中指、薬指と小指を2本一緒にテープで固定し、物がつかみにくく落としやすい状態にして準備はOK。

  杖を持って校内をぐるぐる歩いたり、お店を想定して物の受渡しを行ったり、いつもの通り給食を食べたそうです。

  普段歩きなれている階段が、手すりがないと登れない、階段のはずなのに坂のように見えて怖くて降りられない、足が上がらずちょっとした段差につまづいてしまうということにとても驚いていました。

 お店では、店員さんの言っている言葉が聞き取れず、値札も見えず、また硬貨が識別できずに100円と1円を間違えてしまい、しかもせっかく買ったペットボトルのお茶も開けることができなかったと言っていました。

 そして給食の時間では、箸で食べ物がつかめないだけではなく、手首の重りに耐え切れず食器を落としてしまう子が続出で大騒ぎだったそうです。
 帰ってきた娘はとても疲れきっており、「おじいちゃんやおばあちゃんは毎日こうなんだよね。大変だよね。出来ていたことが出来なくなるって悲しいよね。」と言うので、おじいちゃん、おばあちゃんにこれからどうしたい?と聞くと、「困っていることがないか気にして、手伝ってあげる。」と言ってました。

 小学校ではこの後、5年生で車椅子体験、6年生で施設のボランティア体験を行います。

 なごみの郷でも、毎年地域の小学生がふれあい体験、また中学生が社会体験3daysチャレンジとして社会体験に訪れます。

  ほんの少しですが、こういう体験を通じて介護職を目指す子も毎年います。

  そして、夢を実現させ介護職としてスタートします。

  どんな職種でも仕事を通じて、様々な「想い」との葛藤はあるかも知れませんが、娘が感じたような、初めの一歩の気持ちを忘れずに、更なる夢への実現に向かって欲しいと願っております。

冨山 彰子