先日、以前に認知症のお母さまを介護していた息子さんよりお便りがありました。
駆け出しのケアマネだった頃なので懐かしい思い出ですが、夕方になると決まってソワソワと落ち着かない様子になり、ちょいと目を離すとタタタタと商店街まで出かけられる。何度となく一緒に商店街を疾走したことがありました。息子さんが仕事から帰宅するまではデイサービスを利用し、夕方はヘルパーさんが毎回訪問していました。
そんな折り、父親も倒れてダブル介護となり、仕事と介護の両立が出来なくなった息子さんが勤め先に休暇願いを出して長期休暇を取得された経緯がありました。当時は長期の介護休暇の風潮もなく「育児・介護休業法」も制度も充実していなかった頃、自分自身のことを犠牲に両親の介護を背負い、預貯金を切り崩しながら、献身的に尽されていた『介護のかたち』でした。
そんな息子さんからの便りには、勤め先の企業で介護が注目されるようになったこと、社員向けの冊子が作成され配布されたこと、その作成にあたり息子さんの意見が活かされたこと、給与の何割かが支給される就業規則に変更になること・・・が書かれており、日本が介護に対してもっと積極的に援助できる社会を作ってほしいと願われた内容でした。息子さんの思いが一つ報われて、また『介護のかたち』に出会えて嬉しいお知らせとなりました。
介護はある日突然、誰にでも起こりうる「日常」です。
ただでさえ時間の余裕がないのに経験したことのない「介護」という、人生で初めての「労働」がプラスされます。
「親を大切にする心」は、もちろん大切ですが、それ以上に身体を動かす「労働」であると割り切ることも大切なことだと思います。
そんな介護の知恵やヒントをもらえる場として『介護者サロン』があります。
越谷なごみの郷でも毎週第3水曜日に開催しています。
介護経験が豊富な介護者さんが集まりいろいろな『介護のかたち』を分かち合い、共感することで明日につながる機会としてお役に立てたらと思っています。
主任介護支援専門員 藤井 一成