「初めの一歩」

 先日、小4の娘が学校で高齢者擬似体験(うらしま太郎体験)をおこなってきました。

  目には白内障による色覚変化、ぼやけて見える状態や視野の狭さを再現するための特殊眼鏡をつけ、足や手首には関節が動きにくくなる状態を再現する重りをつけ、高い音が聞こえにくくなる耳栓をつけ、人差し指と中指、薬指と小指を2本一緒にテープで固定し、物がつかみにくく落としやすい状態にして準備はOK。

  杖を持って校内をぐるぐる歩いたり、お店を想定して物の受渡しを行ったり、いつもの通り給食を食べたそうです。

  普段歩きなれている階段が、手すりがないと登れない、階段のはずなのに坂のように見えて怖くて降りられない、足が上がらずちょっとした段差につまづいてしまうということにとても驚いていました。

 お店では、店員さんの言っている言葉が聞き取れず、値札も見えず、また硬貨が識別できずに100円と1円を間違えてしまい、しかもせっかく買ったペットボトルのお茶も開けることができなかったと言っていました。

 そして給食の時間では、箸で食べ物がつかめないだけではなく、手首の重りに耐え切れず食器を落としてしまう子が続出で大騒ぎだったそうです。
 帰ってきた娘はとても疲れきっており、「おじいちゃんやおばあちゃんは毎日こうなんだよね。大変だよね。出来ていたことが出来なくなるって悲しいよね。」と言うので、おじいちゃん、おばあちゃんにこれからどうしたい?と聞くと、「困っていることがないか気にして、手伝ってあげる。」と言ってました。

 小学校ではこの後、5年生で車椅子体験、6年生で施設のボランティア体験を行います。

 なごみの郷でも、毎年地域の小学生がふれあい体験、また中学生が社会体験3daysチャレンジとして社会体験に訪れます。

  ほんの少しですが、こういう体験を通じて介護職を目指す子も毎年います。

  そして、夢を実現させ介護職としてスタートします。

  どんな職種でも仕事を通じて、様々な「想い」との葛藤はあるかも知れませんが、娘が感じたような、初めの一歩の気持ちを忘れずに、更なる夢への実現に向かって欲しいと願っております。

冨山 彰子