忘れごと

 

今日、2Fにあるデイサービスの高齢者が職員と共に1F事務所の電話を借りにきました。高齢者は少し険しい表情にも見え、また困っているようにも見えた。

 

職員は電話の使い方を説明し、本人は受話器をとり自宅にダイヤルを回し、電話が繋がる。

 

その話の内容から、本人が電話をしていた理由がわかった。どうやら戸棚にしまっておいたお菓子を忘れたことを伝えたかったようだ。用件を伝えると本人は安心したようで「はぁ~良かったわぁ」と表情が和らぎ電話をおき、2Fのデイサービスに戻っていった。

 

なんてことない風景にも見えるが、本人が不安に思っている忘れごとを職員が真摯に受け止め応じている姿が何だか嬉しかった。

 

今、家には誰もいないから。電話が壊れているから。こちらで伝えておくので。といったように、本人の不安に共感を見せかけて、ごまかそうとするのではなく、本人が不安と思う事に同じ目線で物事を考えて上げられるからこそ、出来た考動だと思う。

 

もちろん、家族の事情などにより、必ずしも電話を繋げたことが手立てとして正しいかどうかは解らない。他にも専門職だからこそ応じられる事があるかも知れない。しかし、そんな追求をしていく大前提には、「自分達が困らぬように」ではなく、「本人の困っている事に支えとなりたい」という姿が大切なんでしょうね。

施設長 八幡 雅冬

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